不規則用言

#TZF.е̂к

е̂к 「である」 は、 例外的に 2 子音の ⁎ъе̂к という語幹をもつ。 さらに、 動形容詞形と動名詞形は、 規則通りの ⁎ъе̂кар や ⁎ъе̂кал ではなく、 к が落ちた ⁎ъе̂р や ⁎ъе̂л という形になる。 なお、 受動態形はもたない。

е̂к
現.能過.能
三.定.水е̂ке̂кан
三.定.火е̂кое̂кно
三.不定.水е̂ке̂кан
三.不定.火е̂кое̂кно
二.水ти̂кти̂кан
二.火те̂коте̂кно
一複.水бами̂кбами̂кан
一複.火баме̂кобаме̂кно
一単.水и̂ки̂кан
一単.火и̂кои̂кно
形.水е̂р
形.火е̂ро
名е̂ло

#TVR.то̂ч, ажжо̂ч

то̂ч と ажжо̂ч は、 動詞と同じように振る舞うことがあり、 それぞれ前に出てきた内容を受けて 「その通りにする」 と 「その通りにしない」 を表す。 このときは、 形は不変で、 人称や時制などによる変化は全くしない。 また、 動形容詞や動名詞の用法はない。

人称代体言

#TVV.総論

人称代体言には、 まず三人称, 二人称, 一人称複数, 一人称単数という 4 種類の人称の区別があり、 それぞれ √х‧ъ, √т‧ш, √б‧м, √й‧ц という 2 子音語根を由来とする。 各人称に対して、 さらに長形, 短形, 前置形という 3 種類の形の区別があり、 これらは語型によって区別される。 また、 三人称人称代体言の長形のみ 2 種類の形をもち、 指す対象が人間かどうかで使い分けられる。

三人称二人称一人称複数一人称単数
長形хе̂е, хо̂ете̂шшебе̂ммеи̂цце
短形ехшехбамехцех
前置形èшèбамèцè

#TVP.長形

人称代体言の長形は、 全て ⁎ке̂тте を語幹とし、 通常の体言の屈折に従う。 ただし、 三人称でのみ ⁎ко̂тте を語幹としたものも存在する。 どの場合でも題母音は ⁎е もしくは ⁎о である点に注意せよ。

定性による形の区別はないが、 常に定として扱われる。 また、 形容詞形ももたない。

хе̂е 「彼, 彼女」
水.用火.用水.体火.体
主хе̂ехе̂охе̂евхе̂ов
対хе̂ахе̂ахе̂еваххе̂овах
与хе̂есхе̂осхе̂евасхе̂овас
奪хе̂езамхе̂озамхе̂евзамхе̂овзам
具хе̂отхе̂утхе̂евотхе̂овот
処хе̂ихе̂ехе̂евехе̂ове
те̂шше 「あなた」
水.用火.用水.体火.体
主те̂шшете̂шшоте̂шшевте̂шшов
対те̂шшате̂шшате̂шшевахте̂шшовах
与те̂шшесте̂шшосте̂шшевасте̂шшовас
奪те̂шшезамте̂шшозамте̂шшевзамте̂шшовзам
具те̂шшотте̂шшутте̂шшевотте̂шшовот
処те̂шшите̂шшете̂шшевете̂шшове
бе̂мме 「あなた」
水.用火.用水.体火.体
主бе̂ммебе̂ммобе̂ммевбе̂ммов
対бе̂ммабе̂ммабе̂ммевахбе̂ммовах
与бе̂ммесбе̂ммосбе̂ммевасбе̂ммовас
奪бе̂ммезамбе̂ммозамбе̂ммевзамбе̂ммовзам
具бе̂ммотбе̂ммутбе̂ммевотбе̂ммовот
処бе̂ммибе̂ммебе̂ммевебе̂ммове
и̂цце 「私」
水.用火.用水.体火.体
主и̂ццеи̂ццои̂ццеви̂ццов
対и̂ццаи̂ццаи̂ццевахи̂ццовах
与и̂ццеси̂ццоси̂ццеваси̂ццовас
奪и̂ццезами̂ццозами̂ццевзами̂ццовзам
具и̂ццоти̂ццути̂ццевоти̂ццовот
処и̂цции̂ццеи̂ццевеи̂ццове

#TVB.短形

人称代体言の短形は、 一人称複数以外では、 人称を表す語根のうち第 2 根素のみが現れた ⁎те が語幹となる。 一人称複数では、 2 つの根素が両方現れた ⁎кате が語幹となる。 全て短屈折に従う。

なお、 定性による区別はないが、 常に定として扱われる。 また、 主格形も欠いており、 そのため対格形が代表形として用いられる。

ех 「彼, 彼女, それ」
水.用火.用水.体火.体
対ехохеваховах
与есосевасовас
奪емомевамовам
具етотеватоват
処иеевеове
шех 「あなた」
水.用火.用水.体火.体
対шехшохшевахшовах
与шесшосшевасшовас
奪шемшомшевамшовам
具шетшотшеватшоват
処шишешевешове
бамех 「あなた」
水.用火.用水.体火.体
対бамехбамохбамвахбамвах
与бамесбамосбамвасбамвас
奪бамембамомбамвамбамвам
具баметбамотбамватбамват
処бамибамебамвебамве
цех 「私」
水.用火.用水.体火.体
対цехцохцевахцовах
与цесцосцевасцовас
奪цемцомцевамцовам
具цетцотцеватцоват
処цицецевецове

#TVC.前置形

人称代体言の前置形は、 一人称複数以外では、 人称を表す語根のうち第 2 根素のみが現れた ⁎те が語幹となる。 一人称複数では、 2 つの根素が両方現れた ⁎кате が語幹となる。 全て前置屈折に従う。

人称代体言以外の代体言

#TTX.総論

以下の表に示す代体言群は、 その形態に一定の規則性が見られる。

遠称中称近称相関不定疑問否定
単純хèтèѝкèаффèнèаннèажжè
人хе̂сте̂си̂ске̂сфе̂саффе̂сне̂санне̂сажже̂с
物хо̂сто̂се̂ско̂сфо̂саффо̂сно̂санно̂сажжо̂с
場所хе̂ддете̂ддеи̂ддеке̂ддефе̂ддеаффе̂ддене̂ддеанне̂ддеажже̂дде
時間хо̂ддото̂ддое̂ддоко̂ддофо̂ддоаффо̂ддоно̂ддоанно̂ддоажжо̂ддо
様態хо̂ччето̂ччее̂ччеко̂ччено̂ччеанно̂чче

これらの代体言は、 まずその意味に応じて、 遠称, 中称, 近称, 相関, 疑問, 否定, 不定の 7 種類に分けることができる。 これは上の表の横軸に対応する。 この種類は第 1 根素によって特徴付けられる。 なお、 不定と疑問については、 さらに短い形と長い形の 2 種類が存在する。

一方、 代体言の用法や代体言が表す対象に応じて、 単純, 人, 物, 場所, 時間, 様態の 6 系列に分けることもできる。 これは上の表の縦軸に対応する。 この系列は第 2 根素や語型によって特徴付けられる。

各系列と各種類によって代体言が 1 つ定まるが、 上記の表において空欄になっているところには対応する代体言が存在しない。

#TZC.単純系列

単純系列の代体言は、 ⁎ке もしくは ⁎акке を語幹とする。 前置形のみをもつ。

хѐ 「あれ」
赤青
前хѐхо̀
ѝ 「これ」
赤青
前ѝѐ

#TFP.人系列, 物系列

これらの系列の代体言は、 ⁎кө̂т もしくは ⁎аккө̂т を語幹とする。 通常の体言と異なり、 題母音が ⁎и か ⁎у ではなく ⁎е か ⁎о をとる点に注意せよ。 第 2 根素も系列を特徴付けるもので、 これも系列ごとに異なる。 定性による形の区別はなく、 不定形のみをもつ。 形容詞形もない。

хе̂с 「あの人」
水.用火.用水.体火.体
長.主хе̂схе̂сохе̂севхе̂сов
長.対хе̂сахе̂сахе̂севаххе̂совах
長.与хе̂сесхе̂сосхе̂севасхе̂совас
長.奪хе̂сезамхе̂созамхе̂севзамхе̂совзам
長.具хе̂сотхе̂сутхе̂севотхе̂совот
長.処хе̂сихе̂сехе̂севехе̂сове
и̂с 「この人」
水.用火.用水.体火.体
長.主и̂си̂сои̂севи̂сов
長.対и̂саи̂саи̂севахи̂совах
長.与и̂сеси̂соси̂севаси̂совас
長.奪и̂сезами̂созами̂севзами̂совзам
長.具и̂соти̂сути̂севоти̂совот
長.処и̂сии̂сеи̂севеи̂сове

#TTJ.場所系列, 時間系列, 様態系列

これらの系列の代体言は、 ⁎кө̂тте もしくは ⁎аккө̂тте を語幹とする。 やはり通常の体言と異なり、 題母音が ⁎и か ⁎у ではなく ⁎е か ⁎о をとる点に注意せよ。 第 2 根素も系列を特徴付けるもので、 これも系列ごとに異なる。 定性による形の区別はなく、 不定形のみをもつ。 形容詞形もない。

様態系列の代体言のみ、 基本形に加えて単純型の副詞形と前置形をもつ。

関係代体言

関係代体言 у は、 1 子音語根 √ў に由来し、 ⁎ўе を語幹とした短屈折に従う。 ただし例外的に、 表層化後の語頭の母音は一律 у となる。

у
水.用火.用水.体火.体
主ууувув
対ухухувахувах
与усусувасувас
奪умумувамувам
具утутуватуват
処ууувеуве

相関代体言と関係代体言の融合形

#TVN.ку̂к

ку̂к は ко̂со ук の縮約形である。 これは、 ⁎ко̂ の後に格屈折辞を加えてさらに ⁎‧ўак を付けた形態をとるが、 連用対格形のみ不規則である。 定性や類の区別はない。

ку̂к
用体
主ку̂кко̂вок
対ко̂кко̂вахок
与ко̂сокко̂васок
奪ко̂замокко̂взамок
具ку̂токко̂воток
処ке̂окко̂веок

なお、 ку̂к が前置辞とともに表れた場合は、 その前置辞と ку̂к は分かち書きされずにまとめて書かれる。 この際、 その前置辞が 2 子音以上から成っている場合、 ку̂к の先頭の к が落ちて発音されるのが普通で、 文語においても к が落ちて書かれることが多い。 さらにこのとき、 前置辞が 3 子音だった場合は、 弱母音の消失規則に従って、 その末尾にある а が脱落する。 なお例外的に、 ここで起こる к や а の消失は、 アポストロフィーでは明示されない。 例えば、 сом ке̂ок と лозза ке̂ок はそれぞれ соме̂ок と лоззе̂ок と書かれ読まれることが多い。

#TVM.ко̂ддео

ко̂ддео は ко̂ддо у の縮約形である。 これは、 ⁎ко̂ддо の屈折形の末尾に ⁎‧ўой を付けた形態をとり、 連用与格不定形, 連用奪格不定形, 連用処格不定形の 3 つの形のみが存在する。 主格形がないため、 処格形が代表形として用いられる慣例になっている。

ко̂ддео
与ко̂ддосо
奪ко̂ддозамо
処ко̂ддео