二者の比較

#TXE.総論

以下に挙げる体言は、 連述詞として用いられると他の述面を修飾して、 二者を比較する表現を作る。

зи̂дах と можи̂ццак は修飾を受ける述面が形容しているものの方が程度が甚だしいことを表し、 ми̂ццак と зожи̂дах は逆にその程度が甚だしくないことを表す。 また、 зи̂дах や ми̂ццак は程度に真の差があることを含意するが、 можи̂ццак と зожи̂дах は程度が同じ場合も含む。 ただし、 具体的な数値を比較している場合を除いて、 程度が全く同じ場合を含むか含まないかが問題になることは少ないため、 そのようなときは専ら зи̂дах と ми̂ццак の方が好まれる。

си̂ммар と ти̂чал はその被修飾句が形容しているものと比較対象との程度が同等であることを表す。 си̂ммар は程度がだいたい同じであることを表すが、 ти̂чал は程度が全く同じであることを表す。

И̂к зи̂дхѐ ли̂бас цо̀ лофетти̂чловзам.
私は姉より背が高い。
Бо̀ тиру̂шше ми̂ццако̀ чи̂сво̀ӈ.
もっとゆっくり話してください。
Ҕаду̂лан везле̂речу̂ҕасса си̂ммарѐ чебу̂боа ву̂довзам.
彼女は家と同じくらい高額な腕時計を買った。

これらの表現は、 多くの場合で比較対象を表す表現を伴う。 比較対象を表す方法は大きく 2 つあり、 続くサブセクションで詳しく述べる。

#TXI.奪格による比較対象の明示

二者の比較表現を修飾する奪格の句は、 その比較対象を表す。

Тѐ лечокли̂хав е̂к зи̂дхѐ фи̂тач цѐ то̂севзам.
その車は私のより小さい。

1 では、 зи̂дхѐ фи̂тач 「より小さい」 という比較表現に цѐ то̂севзам 「私のもの」 という連体奪格の表現が修飾することで、 「より小さい」 の比較対象が明示されている。

#TXO.相関による比較対象の明示

二者の比較表現を作る連述詞が相関詞の働きをすることで、 相関によってより複雑な比較対象が表現されることもある。 相関の一般論については #TDP などを参照せよ。

以下の例文を用いて、 その構造を説明する。

Леззу̂х е̂кан зи̂дхѐ хи̂ват ешби̂кно ко̂к е̂кан у.
目的地は私が思っていたよりも遠かった。

この 1 は、 以下の 2 つの文が相関により繋げられたものだと解釈できる。

Леззу̂х е̂кан хи̂ват.
目的地は遠かった。
Ешби̂кно ко̂к е̂кан хи̂ват.
私はそれが遠いと思っていた。

1 の内容は、 2 における 「遠い」 と 3 における 「遠い」 を比較して前者の方が甚だしかったという意味である。 両者の構文を比較すると、 1 では、 2 の хи̂ват 「遠い」 には зи̂дхѐ が係っており、 3 の хи̂ват は у で置き換えられている。 これは кѐ–у 相関と同様の構成であり、 その違いは相関詞として кѐ の代わりに зи̂дхѐ が使われている点だけである。 このように、 相関による比較対象の明示も可能である。

なお、 比較対象を表す従属節では、 文意が曖昧にならない程度に大きく句が省略されることが多い。 例えば、 上記の 1 の意味は、 以下のように表現されることが多い。

Леззу̂х е̂кан зи̂дхѐ хи̂ват ешби̂кно.
目的地は私が思っていたよりも遠かった。

4 では、 1 の ко̂к е̂кан у の部分が丸々省略されている。 このように、 比較対象を表す相関表現では、 関係詞のみならず関係詞を含むより大きな部分がまとめて省略されることが多い。

#TRU.差異と倍数

зи̂дах もしくは ми̂ццак が用いられた比較表現に対して 〈数体言+単位名面〉 の連体与格不定形が係ると、 両者の差異が数値で明示される。 この表現では можи̂ццак や зожи̂дах は使われない。

Е̂к зи̂дхѐ ху̂кке ассу̂мревас гу̂жновас цо̀ лохе̂ковзам.
彼は私の母より 5 歳年下だ。

また、 си̂ммар が用いられた比較表現に対して 〈数体言+ безлу̂ттако〉 の連体与格不定形が係ると、 主節側が比較対象に対して何倍甚だしいかが明示される。

И̂дде е̂к си̂ммарѐ хи̂над догу̂чфовас безлу̂ттаковас цо̀ лочди̂кувзам.
ここは私の部屋の 1.5 倍広い。

範囲内の比較

#TNZ.総論

以下に挙げる体言は、 連述詞として用いられると他の述面を修飾して、 程度の最高や最低を表す表現を作る。

сеги̂на は修飾を受ける述面が形容しているものが最も程度が甚だしいことを表し、 сефи̂тач は逆にその程度が最も少ないことを表す。 これらは意味が逆なだけで、 文法的な振る舞いは同じである。

И̂дде е̂к лоду̂наццо сеги̂но̀ лору̂саффо.
ここは最も安全な国だ。

これらの表現は、 多くの場合で比較範囲を表す表現を伴うが、 それについては続くサブセクションで詳しく述べる。

#TNT.範囲の明示

最高もしくは最低を表す比較表現に係る処格の句は、 その比較の対象となる範囲を表す。

Е̂ко сеги̂но̀ чебу̂ттамо бе̂ммеве.
彼女は私たちの中で最も信頼できる。

1 では、 сеги̂но̀ чебу̂ттамо 「最も信頼できる」 という比較表現に бе̂ммеве 「私たち」 という連体処格の表現が修飾することで、 「最も信頼できる」 における 「最も」 がどの範囲なのかが明示されている。