連結辞

複数の句を並列して繋いでより大きな句を作る役割をもつ辞を 「連結辞 (conjunction)」 と呼ぶ。 1 つの語や辞に付くわけではないという点で、 連結辞は他の種類の辞とは性質が異なっている。

連結辞は и́, у́, ну́ の 3 種類のみである。 и́ は複数の要素の集まりや論理的連言を表し、 у́ は複数の要素の論理的選言を表す。 ну́ は疑問表現における選択肢を提示するのに使われ、 その具体的な用法は #TXZ でも述べる。

3 つの連結辞は意味のみが異っており、 統語論的な振る舞いは共通である。 そのため、 続くセクションでは種類によらずその用法について述べる。

連結辞の用法

連結辞は、 共通の詞をもつ複数の句の間に挿入されて、 それらの句を繋ぎ合わせた句を作る。 連結辞が繋げる句が 3 個以上の場合は、 各句の間に同じ連結辞が置かれ、 どこか一部だけが省略されることはない。 連結辞で繋がれている句は、 繋がれた各句に共通する詞をもっているものとして振る舞う。

Лоте̂вво е̂кно ги̂но и́ хи̂ру.
その彫刻は大きくて美しかった。
Но̀к тевезле̂ богги̂тка у́ фи̂срареди̂ска у́ ри̂сса?
鉛筆かボールペンか万年筆を持っていませんか?
Исаму̂нан логу̂жне лони̂чме и́ е̂дде ивену̂ш лодди̂ӈке лосу̂ннов.
私は去年結婚して、 今は相手の実家で暮らしている。

1 では、 ともに形容詞である ги̂нохи̂руи́ によって繋がれることで、 ги̂но и́ хи̂ру という形容詞句が作られて、 これが通常の形容詞と同様に е̂кно の補語になっている。 2 では、 3 つの名詞 богги̂тка, фи̂срареди̂ска, ри̂ссау́ によって繋がれて、 богги̂тка у́ фи̂срареди̂ска у́ ри̂сса という名詞句が作られている。 богги̂ткафи̂срареди̂ска の間にも фи̂срареди̂скари̂сса の間にも у́ が置かれていることに注意せよ。 3 では、 2 つの節が и́ によって繋がれている。

連結辞で繋げられる句は、 全て同じ詞をもたなければならないが、 同じ面をもつとは限らない。 連結辞で繋がれている句が全て同じ面をもっている場合は、 繋がれている箇所全体もその面をもっていると扱われ、 それに別の句が修飾することがある。

Езау̂хо ҕаду̂ла и̂дди си̂шша и́ пи̂фса ажжи̂бӈа.
私はここで黒いシャツとスカートを買うつもりだ。

3 では、 и́ が繋いでいる си̂шшапи̂фса がともに名面であるため、 си̂шша и́ пи̂фса 全体も名面として振る舞う。 そのため、 後にある ажжи̂бӈаси̂шша и́ пи̂фса 全体に係っていると解釈することができ、 そうであればこの部分は 「黒いシャツと同じく黒いスカート」 を意味することになる。 ただし、 この ажжи̂бӈапи̂фса にのみ係っているとも解釈できる。 どちらであるかは構文からは判断できないため、 文脈によってのみ定まる。

小辞

並列されている要素の意味的な関係性を示す離辞を 「小辞 (particle)」 と呼ぶ。 要素の並列は多くの場合で連結辞によって行われるため、 小辞は連結辞に付随する辞として説明できる。 ただし、 文の単なる連続もある種の並列であり、 小辞がこのような連続する文の関係性を示すこともある。 この場合の小辞は、 文と文の間に仮想的に存在する空要素に付随していると分析することができる。

小辞が節の関係性を示す場合と節以外の句の関係性を示す場合とでその位置は異なるため、 それぞれの場合に分けて続くセクションで詳細に述べる。

小辞の用法

#TFF.節の関係性の明示

小辞が直前の節との意味的な関係性を示すときは、 その小辞は最初のアクセント群の直後に置かれる。 この位置は、 最初の語の直後 (すなわち 2 語目) であるとは限らず、 また修飾関係に割り込むような位置になる可能性もある点に注意せよ。

Иҕду̂лан ди̂ска. Ажадди̂сно ех маг цо̀ о̂ффано.
私はペンを買った。 というのも、 私の友達がそれを必要としていたからだ。
Екаххи̂зно. Цѐ лечу̂ҕассе дас леҕу̂намме баму̂ҕҕанез лозе̂ккос.
私は起きた。 そのとき、 私の古い時計が床に落下した。

1 の後半の文では、 人称代詞の短形である ех が前接語であるため、 この節の最初のアクセント群は ажадди̂сно ех までであり、 そのため小辞 маг がその後に置かれている。 2 の後半の文では、 最初のアクセント群が цѐ лечу̂ҕассе であるため、 その後に修飾語 леҕу̂намме が続いているものの、 小辞 дасцѐ лечу̂ҕассе の直後に置かれ、 結果的に小辞が修飾関係に割り込むような形になっている。

小辞は、 1 つの文中で連結辞で繋げられている 2 つの節の関係性を表すことも、 連続する 2 つの独立した文の関係性を表すこともある。 小辞を含む節の前で文が途切れていない方が節の繋がりが強いと分析することもできるが、 ほとんどの場合で単にスタイルの違いに過ぎずニュアンスの違いはない。

Зи̂хно леӈги̂таббес, и́ те̂дди са талефи̂гно.
彼は公園に行き、 そしてそこで散歩をした。
Зи̂хно леӈги̂таббес. Те̂дди са талефи̂гно.
彼は公園に行った。 そしてそこで散歩をした。

3 は 1 つの文であるため、 小辞は 2 つの節の関係性を示している。 一方、 4 では小辞の前で一度文が切れているため、 小辞は 2 つの文の関係性を示している。 下に附した日本語訳はこれらの違いを反映させたものだが、 実際にはそれほど大きなニュアンスの違いはない。

小辞が節末に置かれることはない。 そのため、 連続する 2 つの節のうち後半の節が 1 つのアクセント群だけから成っていて、 小辞がこれら 2 つの節の関係性を示す場合は、 その小辞は節の最初に置かれる。 この際、 節が連結辞で繋がれている場合は、 小辞はその連結辞の直後に置かれる。

Цу̂тан ки̂тташа си̂хна, и́са ҕаду̂лан ех.
彼女はおもしろそうな本を手に取って、 それを買った。
Цу̂тан ки̂тташа си̂хна. Са ҕаду̂лан ех.
彼女はおもしろそうな本を手に取った。 そしてそれを買った。

56са が置かれている節には ҕаду̂лан ех という 1 つのアクセント群しか存在しない。 そのため、 通常通り са を最初のアクセント群の直後に置こうとすると са が節の末尾に位置することになるので、 それを避けるために са が例外的に節頭に置かれている。

口語においては、 節の形によらず 〈連結辞+小辞〉 の形が好まれ、 小辞が節の最初のアクセント群の直後に置かれることはむしろ少ない。

Зи̂хно леӈги̂таббес, и́са те̂дди талефи̂гно.
彼は公園に行き、 そしてそこで散歩をした。

#TFV.節以外の句の関係性の明示

小辞は、 節以外の句が連結辞で結ばれている箇所において、 その連結辞の直後に挿入されることもある。

Ѝ леседи̂м е̂к зебу̂баҕ и́ӈа хи̂ват леву̂довзам.
このレストランは素晴らしいが家から遠い。