#TKP.格
以下の 6 つの格を区別する。
- 主格 (nominative case)
- 対格 (accusative case)
- 与格 (dative case)
- 奪格 (ablative case)
- 具格 (instrumental case)
- 処格 (locative case)
格は名詞の意味的役割を示すが、 1 つの格が表す役割は複数個ある。 格がどの意味で用いられているかは、 文脈での判断に委ねられたり、 前置詞によって明確化されたりする。
#TKB.格の用法
#TKC.主格
主格は、 動詞の主語を表すのに用いられる。 動詞の項のうち何が主語となるかは動詞によるが、 ある程度の傾向は見られる。
何らかの動作を表す動詞では、 その動作主が主語となる。 また、 知覚や感情を表す動詞では、 その経験者が主語となる。
- Цо̀ лехо̂ко узо̂цно о̂ххара це лудо̂ццес.
- 私の母は花を机の上に置いた。
- Лочсо̂ҕҕасо баззо̂цо.
- その教師は苦労している。
再帰動詞では、 被動者が主語となる。
#TKQ.対格
対格は、 動作の直接目的語を表すのに用いられる。 動詞の項のうち何が直接目的語となるかは動詞によるが、 ある程度の傾向は見られる。
動作の被動者は概ね対格で表される。
- ʻЛефе̂хто баже̂мо ме̂ццо.
- フィーフトは肉を焼いている。
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#TKX.与格
#TFQ.総論
与格は、 一般に何らかの方向の向き先や終点というイメージをもつ。 様々な用法が見られるが、 どれもこのイメージから発展したものと考えられる。 また、 奪格と対となることが多い。
#TFX.移動の着点や方向
与格がもつ終点のイメージが最も直接的に現れるのが、 ものの移動を含意する動詞とともに用いられた場合である。 このような動詞に対しては、 移動の着点や方向が与格で表される。 場所という意味合いが強い場合は、 しばしば де によって明確化される。 また、 де の代わりに це や фехта などの場所を表す前置詞を伴って、 より細かな位置関係が示されることがある。
- Изе̂х лефде̂нос лесе̂ххаси.
- 私は神社へ朝行く。
#TFJ.受益者
具体的な実体の移動でなくても、 利益などの抽象的なものの授受があると見なせる動詞では、 その受取者や受益者は概ね与格で表される。
- Чаҕҕо̂с цес лефе̂ннѐлу̂рашша.
- 彼は私にフェンナ語を教えてくれている。
#TFL.目的や結果
さらに方向の意味合いが因果関係に抽象化されて、 行動の目的や結果も与格で表される。 この用法では、 それぞれ чел や зох によって明確化されることが多い。
#TFR.期間や期限の終点
時間を表す表現が与格で用いられた場合、 「~まで」 という期間の終点を表す。 この意味では до を伴うことが多い。
また、 期限の終点も表す。
#TKJ.奪格
#TFN.総論
奪格は、 一般に何らかの方向の始点というイメージをもつ。 様々な用法が見られるが、 どれもこのイメージから発展したものである。 また、 与格と対となることが多い。
#TFM.移動の始点
奪格がもつ始点のイメージが最も直接的に現れるのが、 ものの移動を含意する動詞とともに用いられた場合である。 このような動詞に対しては、 移動の始点が奪格で表される。 場所という意味合いが強い場合は、 しばしば де によって明確化される。 また、 де の代わりに це や фехта などの場所を表す前置詞を伴って、 より細かな位置関係が示されることがある。
#TFY.理由や原因
方向の意味合いが因果関係に抽象化されて、 行動の理由や原因も奪格で表される。 この意味は зох によって明確化されることが多いが、 被害や迷惑のニュアンスがある場合は чел も用いられる。
#TFH.仮定
仮定も奪格で表されるが、 その仮定が事実に反していたり可能性の低かったりするというニュアンスが加わる。 この用法では、 ほぼ必ず дом を伴う。
#TFA.判断基準
主に形容詞や副詞の判断基準や視点も奪格で表される。
- Левче̂ҕас е̂кан ажжа се̂хан и̂ццевзам.
- その物語は私にはおもしろくなかった。
#TFE.期間の起点
時間を表す表現が奪格で用いられた場合、 「~から」 という期間の起点を表す。 この意味では до を伴うことが多い。
- Даро̂з до лесе̂ххасес.
- 朝から雨が降っている。
#TKL.具格
#TFI.道具や手段
動作を行うのに使う道具や手段は具格で表される。
#TFO.同伴者
動作を一緒に行っている人や物も具格で表される。 しばしば шет が付随して意味が明確化される。
- Талфе̂г ме̂рео̀т.
- 彼女は猫と一緒に散歩している。
#TFU.数量
数量は具格で表される。 これの最も典型的な例が基数の表現である。 これについては #TZE でも詳しく述べる。
動詞に係って数量を表すこともある。
- Сечло̂вно ме̂ссана бе̂всо̀т тов леше̂тес.
- 彼はリンゴを 2 個ずつに分けた。
#TKR.処格
#TVS.場所
動作の場所は処格で表される。 де によって明確化されることもあるが、 それほど頻繁ではない。 また、 це や фехта などの前置詞を伴って、 より細かな位置関係が示されることもある。
- Като̂шо ке̂тташа лекде̂тташе.
- 彼女は本を図書館で読んでいる。
#TVZ.時間
動作の時間も処格で表される。 この意味は до によって明確化されることもあるが、 やはりそれほど頻繁ではない。
#TPR.付帯状況
背景や付帯状況も処格で表される。 この意味では、 ку̂к が用いられて 〈ке̂ак + 節〉 の形になることが多い。 шет によってさらに意味が明確化されることもある。
#TVT.条件
条件も処格で表される。 この意味は дом で明確化されることも多い。
#TBE.話題
話題は処格で表される。 сеф によって明確化されることも多い。