動詞は相を明示する活用形態をもたず、 動詞単独では相に関する含意はない。 そのため、 動詞が動作のどのような局面について言及しているかは、 その動詞自身の意味や時制や文脈などから総合的に判断される。

例えば、 動詞が現在時制で使われていてそれが現在の出来事を表している場合は、 「~している」 という進行相や 「~することにしている」 などの習慣を意味していることが多い。 また、 現在時制は未来のことも表し得るので、 その場合は 「~する (予定だ)」 という完結相の意味になることも多い。 一方で、 動詞が過去時制の場合は、 逆に 「~した」 という完結相を意味していることが多い。 一方、 ту̂л 「知る」 や ифе̂н 「好む」 などの動詞は、 時制によらず完了相の意味で使われることがほとんどである。

Часе̂вво леӈге̂табби.
Ицдо̂сан ѝ лоцдо̂ссес.
Ифе̂но ви̂вха.

例えば 1 が意味するのが、 進行相的な 「彼女が今まさに公園で走っている」 なのか、 完結相的な 「彼女にこれから公園で走るという予定がある」 なのか、 習慣の 「彼女には公園で走るという習慣がある」 なのかは、 この表現だけから判断することはできない。 また 2 についても、 これが 「私はその椅子に座った」 なのか、 「私はその椅子に座っていた」 なのか、 「(決まりなどにより) 私はその椅子に座ることになっていた」 なのかは、 文脈なしでは分からない。 3 については、 ифе̂н が完了相の意味で使われるのが普通であることから、 「私はワインが好きだ」 の意味であると解釈するのが普通だが、 文脈によっては 「私はワインを好きになろうとしている最中だ」 や 「私はワインが好きになるだろう」 を意味することもあるだろう。

文脈等があっても相が曖昧になると判断された場合などでは、 迂言的な方法で相が明示されることがある。 一部の相の明示方法は固定化されているので、 続くセクションで詳説する。

相の明示

#TTD.進行相

е̂к + 分詞句〉 の形は 「~している途中である」 という進行相を表す。 すなわち、 分詞の動詞が表す動作が始まってから完了するまでの間の状態を表す。 この形は 「進行相構文 (progressive construction)」 と呼ばれることもある。 なお、 この分詞は е̂к の補語なので、 主語と類などが一致する。

И̂ко бусоже̂лло цо̀ лечде̂козам.
私は自分の部屋を掃除しているところだ。

#TTK.完了相

зало̂ + 分詞句〉 の形は 「~してある」 や 「~した後である」 のような完了相を表す。 すなわち、 分詞の動詞が表す動作が完了した後の状態を表す。 この形は 「完了相構文 (perfect construction)」 と呼ばれることもある。 なお、 この分詞は зало̂ の補語なので、 主語と類などが一致する。

Левше̂тае зало̂ гаво̂ртез.
その集会は終わっている。

#TTG.完結相

ви̂д + 分詞句〉 の形は 「~する」 という完結相を表す。 すなわち、 分詞の動詞が表す動作が始まってから完了するまでの一連をまとめて表す。 この形は 「完結相構文 (aoristic construction)」 と呼ばれることもある。 なお、 この分詞は ви̂д の補語なので、 主語と類などが一致する。

この構文が使われる頻度は低い。 そのため、 この構文が使われるときには、 完結のニュアンスが強まって 「~し切る」 や 「最後まで~する」 のような意味になることも多い。

#TPM.習慣

само̂рре には 「習慣的にする」 の意味があるため、 これに不定詞の対格形が続くと 「~する習慣がある」 という意味になる。

Само̂рро сѐфе̂лма ме̂рҕа ноч заҕе̂лле.
彼女には寝る前に牛乳を飲む習慣がある。