単言語の受容形式

他言語から輸入された語彙は、 大きく次の 2 種類に分けられる。 1 つは、 他言語の単語が輸入された後に、 フェンナ語の形態論に馴染むよう形態等が多かれ少なかれ変形したものである。 これを 「借用語 (loanword)」 と呼ぶ。 もう 1 つは、 他言語の単語がほとんどそのまま使われているものである。 これは 「外来語 (foreign word)」 と呼び、 前者とは明確に区別する。

借用語はさらに 2 種類に分けられる。 その 1 つは、 他言語の単語に含まれる子音のみが語根として受容され、 その語根からフェンナ語の通常の形態論に沿って作られたものがある。 このような借用語は 「語根借用語 (root loanword)」 と呼ばれる。 もう 1 つは、 他言語の単語の表層的な語形をそのまま受容したもので、 しばしばその語形がフェンナ語の固有語に近くなるように変形を受けたものである。 このような借用語は 「語彙借用語 (lexical loanword)」 と呼ばれる。

借用語は、 もはやフェンナ語の語彙の一部として認識されているため、 固有語と同様に語形変化などを受ける。 借用語には、 固有名詞も一般名詞も含まれ、 中には日常で頻繁に用いられるものもある。 一方で外来語は、 あくまで他言語の表現をフェンナ語の中で利用したものと認識されており、 語形変化もせず、 原語での表記でそのまま記されることもある。 基本的に人名や地名などの固有名詞のみである。

語根借用語

#TCN.根素の選択規則

語根借用語のほとんどはスペイン語に由来する。 このときに語根として用いられる子音は、 概ね次の規則で選択される。 まず、 元単語の音節頭の子音と (存在すれば) 語末の子音が取り出され、 それに最も近い基層形の音素に変換される。 このように取り出された子音が 4 つ以下である場合は、 それがそのまま語根となる。 取り出された子音が 5 つ以上の場合は、 5 番目以降の子音は無視されて 4 子音語根となる。 取り出された子音が 2 つの場合は、 第 2 根素として ъ が補われて 3 子音語根となる。 例えば、 スペイン語の perro, conejo, chocolate からはそれぞれ √п-ъ-р, √к-н-х, √ч-к-л-т という語根が作られている。

音節頭と語末以外の子音はこの際に無視されるが、 単語が作られる際に使われる語型にそのような子音の存在が反映されることが多い。 具体的には、 元単語において各根素の由来となっている子音の前後に別の子音がある場合、 その根素が重子音となるような語型が使われることが多い。 例えば、 スペイン語の manzana からは √м-с-н の形で借用されており、 ここから ме̂ссано という単語が生じている。 これは、 第 2 根素である с の由来であgる z の直前に n があるため、 これを反映して第 2 根素が重子音となる D2 型語型が選択されていると考えられる。

#TVE.語形変化

語根借用語は、 基層形から表層形への変換も含めて、 通常の形態論に沿って語形変化する。 詳細は #TSA 等を参照されたい。

語彙借用語

#TCY.借用の規則

フェンナ語とその他の言語とでは音素や音節などの構造が異なるため、 必然的に単語借用の際には同化を受ける。 この過程は概ね次のステップで説明できる。 ただし、 例外もいくつか存在する。

まず原則として、 他言語の単語から取り入られるのは語形変化語尾などを除いた語幹部分のみである。 さらに、 語形変化語尾でなくとも単語末の母音は取り除かれる傾向がある。 スペイン語からの借用の場合、 名詞性を表す -a や -o は取り除かれ、 さらに語末の -e も取り除かれることが多い。

この語幹部分に対して、 最初に他言語の音素がフェンナ語の音素に移される。 この規則については #TVU を参照せよ。

続いて、 音節構造が調整される。 フェンナ語の音節は CVC より複雑にならないため、 1 つの音節に子音の連続が生じている場合は、 適宜 а または е が挿入される。 このとき、 語幹頭にある子音の連続に対しては、 その直前に а が挿入される。 語幹末にある子音の連続に対しては、 その直後に е が挿入される。 それ以外の位置にある子音の連続に対しては、 前から必要に応じて а が挿入される。

次に、 アクセント位置が長母音化する。 アクセントは、 音節調整のための е を除いた部分において後ろから 2 番目の母音に置かれることが多い。 そのため、 原語でのアクセント位置が必ずしも保たれるとは限らない。 この際さらに、 アクセント位置の母音が а だった場合、 それは е に変わることが多い。 また、 アクセント位置より後ろの音節が (C)VC である場合、 その音節の母音が а に変わることも多い。 これらの変化は、 フェンナ語の固有語の形態に合わせるためだと考えられる。

最後に、 固有語において表層形への変換の際に行われる母音の脱落や子音の変化が起きる。 詳細は #TSG#TSF を参照せよ。

#TCM.語形変化

語彙借用語の語形変化は、 似た形態をもつ固有語を模倣する形で行われる。 詳細は #TCL を参照せよ。

音素の転写規則

#TPS.スペイン語から

スペイン語の有声破裂音 /ɡ/, /d/, /b/ は、 位置によって破裂音で発音される場合と接近音で発音される場合があるが、 転写の際にはこの違いが反映される。

元音素基層表層
/k/кк
/ɡ/г, ҕг, ҕ
/x/хх
/t/тт
/d/д, зд, з
/θ/сс
/p/пп
/b/б, вб, в
/f/фф
元音素基層表層
/s/ҫс
/t͡ʃ/чч
/n/нн
/m/мм
/ɲ/нн
/l/лл
/ɾ/рр
/ʎ/жж
/ʝ/йж
元音素表層
/e/е
/i/и
/o/о
/u/у
/a/а

#TPZ.日本語から

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